Re:萬古展~三年ぶりの再会
ご挨拶
当財団では、旧組織((財)四日市市文化振興財団)の創設以来、萬古焼の展示公開と調査研究を実施しており、さまざまな切り口で萬古焼の魅力を紹介してまいりました。事情により、しばらく開催できずにおりましたが、この度、約3年ぶりに萬古展示を再開できる運びとなりました。
四日市の近代産業の原動力となり、現代も地場産業として重要な位置を占めている萬古焼の展示を通し、これからも四日市市の伝統文化をひろめていく活動を続けてまいります。
今回の展示「Re:萬古展~三年ぶりの再会」では、
江戸時代に始まった「古萬古」から「有節萬古」、「四日市萬古」の作品を中心に52点展示いたします!


古萬古
萬古焼は、江戸時代の桑名の商人(陶器問屋)、沼波五左衛門弄山(ぬなみろうざん・1718-1777)が元文年間(1736-1740)に作り始めた焼き物である。
楽焼、唐津焼、織部、伊賀焼などの写し物(模倣)に、赤絵に見られる山水画と更紗模様との組み合わせは異国情緒を漂わせる斬新なデザインは当時の人々の興味を引きつけた。


(四日市市立博物館所蔵)

(四日市市立博物館所蔵)
有節萬古

弄山がこの世を去り五〇数年が過ぎた天保二年(1831)、弄山の偉業を惜しんだ、森有節(もりゆうせつ・1808-82)が弟千秋(せんしゅう・1816-64)とともに弄山風の作品を再現した。これが再興萬古(有節萬古)である。最初が弄山の赤絵作品や茶陶の写し物を作ったが、その出来映えは弄山のものと何の遜色もないものであった。 やがて、有節は弄山風作品とは別に精巧な技術で形作り、独自の世界を顕した。
弄山がこの世を去り五〇数年が過ぎた天保二年(1831)、弄山の偉業を惜しんだ、森有節が弟千秋とともに弄山風の作品を再現した。これが再興萬古(有節萬古)である。最初が弄山の赤絵作品や茶陶の写し物を作ったが、その出来映えは弄山のものと何の遜色もないものであった。 やがて、有節は弄山風作品とは別に精巧な技術で形作り、独自の世界を顕した。
描かれた絵が立体に見える盛絵技法やピンク色に発色する腥臙脂釉の開発、そして何よりも、萬古焼が四日市の地場産業となる礎となった木型成形の技術を発明した。また、木型を使って成形することを初めて発案した。木型を使うことによって同じ形で薄手の物が作れるようになった。この木型の発明は後の明治萬古の大量生産の礎となった。まさに有節は陶器に様々な工夫と装飾を施し、陶器に新たな可能性を与えるともに、四日市萬古へ続く道をつけることとなった。

(四日市市文化会館)

(四日市市立博物館所蔵)
四日市萬古
四日市の山中忠左衛門(やまなかちゅうざえもん・1821-78)は、有節の萬古焼にあこがれて研究し、ようやく手に入れた技法を地元住民にひろく公開、指導することで、焼き物の産地を目指した。製造工程を分業化することより、手捻り、ロクロ、絵付けなどの名工が輩出され、萬古焼の質と技術を高めていった。陶土として当初は垂坂山の白土を用いた。当時の外国人の好みや外国事情を調査することによって需要を開拓していった。
明治時代から大正時代、昭和時代にかけて、半磁器製品の安定した生産、それに加えて軽質陶器とよばれる新陶器が発明され、現在の流れに繋がっていくのである。
萬古焼を始めた沼波山の萬古焼と、姿形は別物ではあるが根底に流れる大切なものは「萬古不易」であるといえる。
(萬古不易(ばんこふえき)とは、沼波弄山が自身の作品が永遠に伝わるようにと願いを込め「萬古不易」の印を押したのがはじまりです)

(四日市市立博物館所蔵)

(四日市市立博物館)
三年ぶりの再会
県指定有形文化財(工芸品)・重要美術品である陶製灯篭(射和萬古)も3年ぶりに公開となる。
高さ174センチの焼物の燈籠。
上から宝珠、笠、火袋、中台、竿、台座の六個体からなる。竿に万延元年(1860)と射和萬古の刻銘がある。
射和萬古は沼波弄山の妻の生家であった竹川家の子孫竹斉が、古萬古の復興を期して始めたものであるが、その作陶期間はきわめて短かった。この燈籠は年記を記す基準作例として、また大規模な作陶例として貴重である。

(四日市市文化会館所蔵)
開催日時 | 2025(令和7)年6月26日(木)~ 9月7日(日) 9:30~16:30 |
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開催場所 | 四日市市文化会館 展示棟 第2展示室 |
入場料 | 無料 |
関連イベント | はじめてのキッズBANKO 夏休み特別企画~歴史と土に触れてお皿を作ってみよう~ 小学生・中学生・高校生の皆さんに萬古焼をもっと知ってもらう機会として開催します! 萬古作家の稲垣竜一先生ご協力いただき、萬古の歴史と陶芸に挑戦 世界に一つだけの君のお皿を作ってみよう! 7月21日(月・祝) ①10時~ ②14時~ ※要申込 詳しくはこちら ![]() ▹お問合せ 四日市市文化会館 第2月曜を除く月曜休館 9:00~19:00 TEL:059-354-4501 お名前・年齢・連絡先(携帯可)をお知らせください。 |